DXで地方創生――メリットや好事例、給付金について解説

多くの地方の自治体は、「抱えている業務が多すぎる/多岐に渡り過ぎる」などの悩みを抱えています。また、地方の人口減を食い止めるため、地方創生につながる取り組みを実践していく必要もあるのです。

こういった悩みをDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して解消・解決し、地方創生に繋げている取り組みの事例が少しずつ増えてきています。

本記事では、自治体がDXを推進するメリット、好事例と、「地方創生臨時交付金」について紹介します。

自治体がDXを推進するメリットは?

DXを活用することで、自治体の業務を効率化したり、抱えている課題の解決につながったりと、様々な利点があります。

具体的には、以下のようなことが可能になるのです。

  • 各種手続きの効率化
  • 二次災害の拡大防止
  • 超高齢社会における健康維持

それぞれについて、詳しく説明します。

各種手続きの効率化

地方自治体がDXを推進すると、各種手続きに関する業務が効率化でき、住民の満足度も向上します。

例えば、何か手続きをしようとしたとき、従来は住民が市役所に訪れ、紙による手続きをする必要がありました。住民にとっては市役所に訪れる手間が、自治体にとっては業務負担が増えるデメリットがあるのです。

しかし、DXを推進すると、自治体の業務の多くを占める各種手続きや補助金などの支給業務が自動化しやすくなります。これにより、迅速な対応、および職員の生産性の向上が期待できるのです。

特に現代は、ライフスタイルの変化や超高齢社会への突入などにより、自治体が対応する業務量は増加しています。

例えば、コロナ禍では自治体による迅速な給付金の支給が求められました。しかし、DXが進んでいないがゆえに、多くの自治体で給付金の支給が遅れが生じたのです。増えていく業務に限られた人員で対応するためには、業務効率化を進めるのが効果的です。

二次災害の拡大防止

DXを推進すれば、正確な情報提供が可能となり、二次災害の拡大を防止できます。

近年、自然災害が多くなってきています。また、自然災害が発生すると、二次災害が発生することも珍しくありません。自然災害自体の発生を防ぐことはできませんが、二次災害の拡大防止は可能です。自治体は二次災害の拡大防止に努め、住民の安全を守る必要があります。

例えば、自治体がチャットアプリを使えるようになれば、被害状況や避難所をいち早く住民に知らせられます。住民は適切な行動を起こせるようになり、二次災害の拡大防止へと繋がるでしょう。

超高齢社会における健康維持

DXを推進すると、高齢者の健康維持にも配慮しやすくなります。

超高齢社会に対面している現代では、自治体が一人暮らしの高齢者や基礎疾患のある住民の健康情報を把握して、孤独死などを防がなくてはなりません。

DXを推進すると、例えば、自治体が保有する福祉情報をAIに分析させ、必要な支援が行き届いていない住民を特定するといったことが可能になります。このAIの分析をもとに、職員が自宅訪問などの適切な措置をとることで、超高齢社会における健康維持や適切な支援につなげられるのです。

DXを進めることにより、既存の情報を有効活用でき、高齢者へのサポートも充実させられるでしょう。

DXを推進、地方創生に役立てた好事例5選

DXを推進することで、自治体にはもちろん、住民にも多くのメリットがあります。

ここからは、DXの推進に成功した以下の自治体の事例を紹介します。

  • 学童保育の手続きをオンライン化――広島県呉市
  • 北海道北見市
  • 島根県
  • 青森県佐井村
  • 北海道沼田町

DX推進の際、ぜひ参考にしてください。

学童保育の手続きをオンライン化――広島県呉市

広島県呉市は、学童保育(放課後児童会)の入会や変更、退会などの基本的な手続きのオンライン化に成功しています。

従来は、利用者は入退会や休会などの書類提出のためだけに、何度も児童会へ行く必要がありました。

しかし、令和3年4月から始まった基本手続きのオンライン化により、時間や曜日を問わず申請が可能に。現在では、ほぼ全ての保護者がオンライン申請を利用するまでになりました。

呉市のオンライン化成功には、スモールスタートで進めた点も影響しています。呉市は手続きのオンライン化には大幅な業務手続が必要だと理解していたため、一度に大きくオンライン化するのではなく、段階を追って徐々にオンライン化を進めるようにしました。

その成果もあり、着実にオンライン化を推進できたと言えます。

”スマート窓口”で手続きをワンストップ化――北海道北見市

北海道北見市は、現在の業務フローの見直しと再設計の一環として、バックヤードとフロント(受付窓口)業務のDXを推進しました。

RPA(自動化支援ツール)を導入することで、住民票などの証明書交付と、住民異動関連手続き業務の一部自動化に成功。

さらに、職員が来庁者の本人確認、および必要な証明書の種類を聞き取りながら、システムを活用して申請書作成を行えるように。これにより、来庁者は申請書に署名するだけの「書かない窓口」となりました。

オンラインツアーで県内8市町を体験――島根県

島根県は、公益財団法人ふるさと島根定住財団とともに、県内8市町をオンラインで巡る「しまね移住体感オンラインツアー」を企画・開催しています。

ツアーコンセプトは、「臨場感と双方向性」。参加者は、先輩移住者や自治体関係者との交流を通し、リアルな暮らしぶりを体感できる内容になっています。

オンラインツアー企画の背景には、コロナ禍により対面でのツアーが難しくなったことが挙げられます。

オンラインツアーにすることで、移住に興味のある方がどこにいても参加可能に。また、アーカイブ動画による各市町の比較検討も可能となりました。

タブレットを全世帯に支給、情報発信/安否確認に活用――青森県佐井村

青森県佐井村は、世代や地域間の情報格差をなくし、全村民がICT技術の恩恵を受けられる仕組み作りを実施しました。具体的には、簡単な操作で利用できるタブレット端末を全世帯に支給したのです。

タブレットには、テレビ電話機能や、メールでの相談機能などが搭載されています。これらの機能のおかげで、役場からのリアルタイムでの情報発信やオンライン上での安否確認が可能となりました。

今後は、健康診断の一時申し込みやアンケート調査などに活用することを検討しています。

地方創生臨時交付金を活用しよう

自治体がDXを推進するメリットとして、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」(以下、地方創生臨時交付金)を受けられる点があります。この交付金は、令和3年度も引き続き予算化されています。

自治体がDXを推進する際は、地方創生臨時交付金を活用することがおすすめです。以下では、地方創生臨時交付金の概要と、交付金活用の参考となる2つのサイトを紹介します。

自由度の高い地方創生臨時交付金

「地方創生臨時交付金」とは、新型コロナウイルス感染症に対応する地方自治体を支援する目的で支給される給付金のことです。

最大の特徴は、活用の自由度の高さです。新型コロナウイルス感染症対応の取り組みである限り、事業の継続や「新しい生活様式」への対応など自由に活用できます。

例えば、地方自治体が生活必需品を住民に配布する際、配布対象者に通知とデジタルチケットを送信するシステムを構築するために交付金を活用できます。

地域未来構想20が分かる「地域未来構想20オープンラボ」

「地域未来構想20」とは、地方創生臨時交付金を活用し、地域で取り組むことが期待される20の政策分野とその取り組みのイメージを、内閣府がまとめたものです。

この20の取り組みについては、特設サイト「地域未来構想20オープンラボ」も設置されています。

地域未来構想20オープンラボは、自治体とその分野のスキルを持つ専門家、関連施策を所管する官公庁のマッチングを支援する目的で開設されました。

サイト内では、20の政策分野の先行事例、各分野に精通した専門家の発見やワークショップの確認などが行えます。

地方創生臨時交付金を活用し、DXを推進するためには、丁寧なリサーチや専門家の協力は欠かせません。DXへの理解を深めたり、ニーズに合った専門家を探したりする場合は、地域未来構想20を積極的に活用すると良いでしょう。

「地方創生図鑑」で好事例を参考にする

他の自治体の良い事例を参考にするなら、内閣府が公表しているWEBサイト「地方創生図鑑」も役立ちます。

地方創生図鑑では、地方創生臨時交付金を用いた事業が紹介されています。

DXの事例も多々紹介されているため、好事例を参考に、DXプロジェクトを推進するといいでしょう。