自治体DXの支援企業――日立、NTT、富士通などのベンダー別に特徴/サービス/事例を紹介

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する地方自治体が増えています。今や、少子高齢化や、地域活性化の対策として、あらゆる局面でデジタルを活用した業務効率化が急務となっているのです。そのため、自治体におけるDXの推進は、「脱ハンコ」をはじめとした行政手続きのオンライン化、デジタルを活用した事業創出やイベント開催などにおいて、デジタル庁も後押ししています。

自治体がDXを推進するためは、協力企業(ベンダー)の存在が欠かせません。ベンダーとは、IT業界でよく使われる言葉で「製品の供給業者」を意味し、現在多くの民間ベンダーが、企業のテクノロジーを駆使して自治体DXに貢献しています。この記事では、自治体DXを支援するベンダーを特長ごとにご紹介します。

日立グループの自治体DX

株式会社日立システムズをはじめとした日立製作所傘下の日立グループは、独自の自治体ソリューションADWORLD(アドワールド)を開発、総務省の規格にも対応した総合プラットフォームで、これまで約770の自治体に提供してきました。

日立グループによる自治体DXの特徴

日立グループによる自治体DXは、住民サービスを向上させ、自治体経営を柔軟に支援します。住民と職員に配慮した利便性とともにセキュリティについても定評があり、「便利」と「安心」を両立させたソリューションとして定評があります。

日立グループによる自治体向けDXサービス

日立グループは、自治体のDX推進を支援するにあたり、ベンダーとして次のようにサービスを体系化しています。

  1. ADWORLDの標準化(行政手続のオンライン化)
  2. デジタル技術による自治体事務効率化(転居届のデジタル化)
  3. 行政サービス向上のためのデジタル人材の育成支援
  4. 庁内業務の効率化
  5. 官民連携・他社企業との協業によるスマートシティ推進(住民サービスの拡充)
  6. 自治体DXの基盤整備

日立グループによる自治体DX導入事例

茨城県東海村:とうかい”まるごと”デジタル化構想

日立システムズでは、茨城県東海村庁内における業務をDX化しました。来庁することなく行政手続きができるシステムづくりを中心に地域住民の利便性を図るとともに、庁内で働く職員にも働き方改革をもたらすなど業務改善を実現しています。

NTT東日本の自治体DX

NTT東日本(東日本電信電話)は、2020年に地方創生推進部を発足しました。ベンダーとして地方自治体のデジタル化を支援するこの部署では、農業から e スポーツ、文化芸術活動まで、あらゆる分野で自治体DXを支援しています。

NTT東日本による自治体DXの特徴

NTT東日本による自治体DXは、企業の得意分野であるICT(情報通信機器)を活用して、QRコード決済の導入、デマンド交通システム、農作物へのIOT導入、生産現場の遠隔制御、稼働データの可視化など、さまざまな産業において効率化を図ります。

NTT東日本による自治体向けDXサービス

NTT東日本が提供する、自治体DXサービスには次のようなものがあります。

  1. ギガらくサイネージ (住民や観光客への情報発信用デジタルサイネージ)
  2. ギガらくカメラ (クラウド型カメラモニタリング・録画サービス)
  3. Bizひかりクラウド お出かけデマンド(クラウド型交通サービス)
  4. 公衆無線LANソリューション(自治体のWi-Fiスポットの整備)
  5. みえる通訳 (訪日外国人や、聴覚障害者向け映像通訳サービス)
  6. ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション 農業タイプ (農産物の課題解決サービス)
  7. ギガらくWi-Fi IoTサポートオプション 工場タイプ (製造現場での課題解決サービス)

NTT東日本による自治体DX導入事例

山形県山形市:自治体のブランド野菜を次世代に伝える「スマート農業」

自治体であるJA山形市が、ベンダー企業であるNTT東日本のDX技術を農業の分野に導入。東北随一の生産量を誇る「山形セルリー」というブランドセロリの栽培において、農地の湿度・温度などをスマートフォンでモニタリングできるように仕組み化しました。このスマート農業によって、ベテラン生産者の栽培ノウハウを「見える化」し、新規生産者の育成に役立てています。

富士通の自治体DX

富士通は、2001年から自治体の住民情報をベンダーとしてサポートする「MICJET」というソリューションを中核に、自治体DXのサービスを提供してきました。2020年秋からは総務省の住民記録システムに完全準拠したこのシステムをアップデートして、次世代の地域社会の実現に貢献しています。

富士通による自治体DXの特徴

富士通は、企業として長きに渡り自治体業務のデジタル化を推進してきました。県や政令市から市町村、外郭団体にいたるまで、さまざまな規模の自治体に対して導入実績があります。

富士通による自治体向けDXサービス

富士通が提供している自治体DXのソリューションは、次の3つのサービスが柱になります。

1. MICJET(ミックジェット)

国民年金、国民健康保険、税務情報、住民記録など住民情報のオールインワンパッケージ

2. MCWEL(エムシーウェル)

制度改正に対応するワンストップの介護福祉ソリューション

3. IPKNOWLEDGE(アイピーナレッジ)

省庁職員の業務効率化に対応した内部情報ソリューション

富士通による自治体DX導入事例

福島県郡山市:財務情報・文書管理・電子決裁システムの導入で電子決済率100%に

福島県郡山市では、2020年にそれまで自治体で20年近く利用していた財務会計・文書管理システムから富士通の内部情報ソリューションへと移行。それまで20%程度だった電子決済率を100%にしただけでなく、コロナ禍におけるリモートワークでも、最適な環境を作り上げました。

コニカミノルタの自治体DX

コニカミノルタは、2021年7月から自治体特有の業務プロセスに沿った自治体DX支援プラットフォームの提供を開始しました。これまでのコニカミノルタという「ものづくり企業」としての実績を盛り込んだこのプラットフォームは、2023年までに1000自治体への展開を目指しています。

コニカミノルタによる自治体DXの特徴

コニカミノルタの提供するプラットフォームは、インプットとアウトプットで業務プロセスが異なる自治体固有の問題解決に特化しています。また、コニカミノルタの長年のものづくりのノウハウを生かして、データを可視化して課題解決に導きます。

また、それぞれの業務を他の自治体と比較しながら、業務遂行モデルの指標が作れるのも、ベンダーのなかではユニークな特長となっています。

コニカミノルタによる自治体向けDXサービス

コニカミノルタは、「改善コンシェルジュ」として、自治体の業務や課題の「見える化」を行い、多様な働き方を実現します。

同社が提供する自治体DX支援プラットフォームには、次のサービスを提供しています。

  1. 可視化サービス
  2. 業務分析サービス
  3. 最適化サービス
  4. 標準化サービス

コニカミノルタによる自治体DX導入事例

佐賀県:職員ポータルシステムの再構築で、業務効率化を実現

自治体のなかでも、佐賀県は全国に先駆けてテレワークを導入するなど、DXに積極的な県として有名です。コニカミノルタは、この佐賀県庁の職員ポータルシステムを再構築しました。コニカミノルタが担当したのは設計・構築・運用保守全般で、タブレットを使ったテレワークや文書決済・文書申請などを導入し、佐賀県職員の働き方改革に寄与しました。

NECの自治体DX

NEC(日本電気)は、自治体向け総合ソリューションGPRIME(ジープライム)を提供しています。老舗IT企業らしく豊富なリソースで、クラウドやビッグデータなどで行政と住民の接点を強化し、自治体経営に改革をもたらします。

NECによる自治体DXの特徴

NECによる自治体DXは、住民サービスと行政経営を2本柱に、それぞれの基盤を提供し、セキュリティやクラウド(SaaS)のプラットフォームも提供しています。

また2021年4月には業界初のマイナポータルと連携したAIチャットボットを開発し、20以上の自治体に自動応答サービスを導入しています。

NECによる自治体向けDXサービス

NECでは、次のような自治体DXのソリューションを提供しています。

  1. 住民情報総合ソリューション
  2. 行政経営基盤ソリューション
  3. セキュリティプラットフォーム(自治体情報システム強靭性向上モデル、サイバー攻撃ソリューション)
  4. クラウドプラットフォーム(NEC 公共IaaS、マイナンバーカード認証サービスなど)

NECによる自治体DX導入事例

奈良県内7市町:7市町共同で利用できる基幹業務システム

奈良県内にある7市町(香芝市・葛城市・川西町・田原本町・上牧町・広陵町・河合町 )は、住民情報、税務、 国保・年金、介護・福祉など計22個の基幹業務にベンダーであるNECのシステムを導入しました。クラウド(SaaS)活用でシステムの共同化が実現した一方、各自治体の個別のニーズにも対応できる先駆的な仕組みを作りしまた。

[PR]ガリレオスコープの自治体DX

ガリレオスコープは、ベンダーとして地方自治体が主催するUターン・Iターンイベントを支援してきた実績から、独自のオンラインイベントプラットフォームGALIMO(ガリモ)を開発しました。UIターン希望の人材と地方企業、あるいは地方移転を検討している企業をマッチングさせるサービスをDX化して、地方活性化支援事業を行っています。

ガリレオスコープによる自治体DXの特徴

ガリレオスコープは、代表取締役の20年以上に渡る地方自治体のUIターンプログラム支援の実績から、次のような自治体DXを行っています。

・地方で働きたいITエンジニアへのオンラインでの情報発信

・地方で働きたい人と求人企業のオンラインマッチングサポート

・独自システムGALIMOで、UIターン希望者向けオンラインイベントの開催

UIターン後の地方暮らしのための情報を発信しているほか、コロナ禍で開催が難しくなったUIターンを検討している人々向けの転職イベントを、オンラインで実施。

ガリレオスコープによる自治体向けDXサービス

地方自治体と都市をデジタルでつなぐGALIMOは、通常のオンラインイベントツールと比べて、よりリアルにイベントが体験できるように工夫されています。リアルな転職イベントと同じように、会場内にある個別企業ブースを回ったり、企業と個別相談ができるなど、自治体DXのなかでもオリジナルの仕組みを構築しました。

ガリレオスコープによる自治体DX導入事例

沖縄県:ITエンジニア向け転職イベントのオンライン化

ガリレオスコープでは、独自のオンラインイベントシステムGALIMOで、これまでリアルで開催していたUIターンイベントを開催。このイベントでは、台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏と沖縄県知事玉城デニー氏の特別対談を企画するなど、オンラインならではの豪華スピーカーの登壇にも成功し、大きな成果をあげました。