オンラインイベントやウェビナーは、コロナ禍を機に広まったイベントのやり方です。業務のリモート化が進むなか、オンラインによる非対面イベントという新しいビジネスのやり方は、主催者に多くのメリットをもたらします。主催者側のオンラインイベントのメリットには、次のようなものがあります。
●経費が節減できる
オンラインイベントは、対面型のイベントと比べると会場費や人件費がかからない。
●時と場所を選ばない
オンラインイベントは属性さえ合えば、場所を問わず、参加者を募ることができる。これまでキャパシティが100人の会場でイベントを開催していたとしても、オンラインであれば100人以上を集客することが可能。またアーカイブ配信をすれば、時間も選ばないので、より多くの集客も可能。
●効果を数値化しやすい
オンライン化することで、見込み客や視聴後のアクションなどの数値を明確化しやすい。
以上、オンラインイベントやウェビナーのメリットをご紹介しましたが、その一方、リアルなイベントとは全く異なる準備も必要となります。
この記事では、オンラインイベントやウェビナーを開催するための具体的な手順について、企画立案から具体的な手順と、ZOOMやYouTubeなどの配信するためのプラットフォームの特長をご紹介します。
手順1・どうやってオンラインイベントを開催するか?
オンラインイベントにおける企画立案時のポイントは、3つあります。ずばり「狙い」「スタイル」「ゴール」です。それぞれ詳しく見ていきましょう。
オンラインイベントの狙いを明確にする。
オンラインイベントの手順の最初の一歩は、イベントの戦略を立てることからはじまります。戦略とは「なにを、どうやってターゲットに伝えるか」という「狙い」のことです。
オンラインイベントやウェビナーの種類は、次の3つに大別できます。
①企業や製品/サービスの認知向上 【潜在顧客】
②新製品/新サービスの発表 【見込み客】
③セミナー/研修 【既存顧客・社員】
このように、イベントごとに、ターゲットが異なることがおわかりいただけるでしょうか。たとえば、オンラインの転職イベントは求職中である見込み客向けの「②新製品/新サービスの発表」となり、既存顧客や社員向けのウェビナーは「③セミナー/研修」になるのです。
オンラインイベントの配信スタイルを決める。
オンラインイベントの狙いが決まったら、次に、スタイルを決めていきます。スタイルとは、「片方向」「双方向」「ライブ」「オンデマンド」などの配信スタイルを指します。
●シンプレックス(片方向)/デュープレックス(双方向)
オンラインイベントには、ふたつの配信方式があります。YouTubeのように主催者が一方的に動画を配信する「シンプレックス(片方向)」と、Zoomなどのビデオ会議システムを使い参加者同士でコミュニケーションがとれる「デュープレックス(双方向)」です。
●ライブ配信/オンデマンド配信
オンラインイベントにおけるライブ配信とは、文字どおりリアルタイムでの配信です。ライブ配信は、見込み客向けの新製品発表会など、時事性のあるオンラインイベントに向いています。
一方、視聴者のタイミングで視聴できるオンデマンド配信は、既存顧客に向けたストック型のコンテンツに向いています。たとえば、定期的に製品マニュアル動画を配信することで既存顧客をフォローアップする、といったような使い方が効果的です。
オンラインイベントのゴール(目標)を決める。
オンラインイベントのメリットは、すべての効果を数値化できるところです。オンラインイベントの狙いを明確にし、ターゲットとスタイルを決めたら、最後に数値化したゴール(目標)を決めましよう。
オンラインイベントであれば、イベント当日の参加数や視聴後のアクション、あるいは離脱率なども明確に数値化できます。「参加者◎人」、「離脱率◎%」、「コンバージョン率◎%」など、数値化したゴールに向かって実際のデータを分析し、PDCAサイクルで回しながら会社にとって効果的なやり方を見つけていきましょう。
手順2・どうやってオンラインイベントを準備するか?
オンラインイベント開催にあたって、どのようなプラットフォームが向いていて、どのような機材が必要になるのか、その具体的なやり方についてご紹介しましょう。
オンラインイベントのスケジュールを作る。
オンラインイベントの開催が決まったら、まずはタイムスケジュールを作りましょう。オンラインイベントを1~2時間と想定した場合、事前準備から開催までのタイムスケジュールは、おおよそ次のようなものです。
3週間前:イベントの企画の決定、進行台本の作成開始、イベントの告知開始
2週間前:イベントの開催場所(会議室など)の確保、機材の手配、回線の確認
1週間前:進行台本・投影資料など当日使う制作物が完成
3営業日前:各スピーカーごとのリハーサル、ネット環境、配信ツール、機材の確認
前日:スピーカー全員が揃っての本番と同じようなリハーサル(ゲネプロ)
以上、イベント1週間前までには、当日の進行台本や投影資料などが完成していることが理想です。また、スタッフのTO DO リストを落とし込んだガントチャートを作ると、オンラインイベントをプロジェクトとして見える化できます。
オンラインイベントの配信プラットフォームを決める。
次に、オンラインイベントの成否を決める動画を配信するプラットフォームについてご紹介しましょう。
配信プラットフォームの選び方は、オンラインイベントの内容によって異なります。ライブ配信か、事前に撮影した動画を配信するオンデマンド配信か、イベントの参加者(接続する参加人数)は何人か、参加者のデータをどのぐらい集計するか、など、イベントについて詳細まで把握することで必要な配信プラットフォームがわかります。
ほとんどの配信プラットフォームには、無料版と有料版があります。同じ機能でも、有料版では拡張性や安定性が圧倒的に異なりますので、会社主催のオンラインイベントであれば、ぜひ有料版をおすすめします。まずは無料版でユーザビリティなどを試してから、有料版に移行するやり方もあります。
下記に、有料版の配信ツールの機能比較をまとめましたので、参考にしてください。
Zoom(無料版)(有料版) | Google Meet(無料版)Google Workspace(有料版) | Microsoft Teams(無料版)Microsoft 365 Business (有料版) | J-Stream Equipmedia | Vimeo | |
URL | https://zoom.us/ | https://apps.google.com/meet/ | https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-teams/group-chat-software | https://www.stream.co.jp/ | https://vimeo.com/jp |
配信方式 | デュープレックス(双方向) | デュープレックス(双方向) | デュープレックス(双方向) | シンプレックス(片方向) | シンプレックス(片方向) |
スタイル | ライブ | ライブ | ライブ | ライブオンデマンド | ライブ(有料版)オンデマンド |
同時接続の最大人数 | 50,000名(ウェビナー機能を使用した場合) | 250名 | 300名 | 2,000名 | ほぼ無制限 |
有料/無料 | 有り | 有り | 有り | 有り | 有り |
チャット | 有り | 有り | 有り | 有り | 有り |
動画共有 | 有り | 有り | 有り | 有り | 有り |
ブラウザ視聴 | 可能(制限付き) | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
特徴 | 手軽にWeb会議が行えるビデオ会議のデフォルト。少人数のイベントにおいても広く活用されている。 | Google アプリとの連携が可能。Google ユーザー企業向け。「自動文字起こし」「出席レポート」などユニークな機能あり | Microsoft 製品との連携が可能。ライブイベントなら10,000人まで接続可能。大規模組織向け。 | 国内のサービスなので、サポートが安心。高画質。高セキュリティ。動画制作から請負うプランもあり。 | 高画質。 ひとつのプラットフォームに、動画ツールがすべて集約されている。 |
オンラインイベントに必要な機材を揃える。
オンラインイベントは、基本的にはパソコンとインターネット環境があれば開催できます。とはいえ、現在ではプロ仕様の機材が安価に手に入るようになりましたので、定期的にイベントを開催する場合は、自前で機材を用意しておくと便利です。
音質や画面に品質を求めるのであれば、次のような機材が理想的です。
●パソコン
安定的な配信のために理想的なスペックは「プロセッサー:Core i7」「メモリ:16GB」以上です。ここまでのスペックがない場合は、パソコンのレンタルなどの対策を採りましょう。
●マイク
映像とのズレが生じにくく、USBでパソコンと接続できる外部マイクとしては、以下のようなものがあります。
商品例:USBマイク400-MC015PRO(サンワダイレクト)
●カメラ
視野角が広く遅延やゆがみが発生しない外部カメラとしては、以下のようなものがあります。
そのほか、システム連動型のポインター、カメラを固定する三脚、画面の印象を明るくするライトなども役に立ちます。
手順3・オンラインイベントをどうやって成功に導くか?
最後に、オンラインイベントを成功に導く3つのやり方をご紹介しましょう。
ポイント1:配信環境とスケジュール管理を怠らない。
オンラインイベントならではの課題として、予期せぬ配信トラブルは想定しておいたほうがよいでしょう。ネット環境や機材、根本的なやり方の問題など原因はさまざまですが、このトラブルを回避するには、以下の内容が必須となります。
●リハーサルを行う
オンラインイベントの配信環境を確認することはもちろん、前日までに一度は本番と同じようにリハーサルをおすすめします。特に回線の状況のチェックは非常に重要で、事前のシミュレーションをしっかりしておきましょう。
●プランBを準備する
オンラインイベントにおいて万が一配信トラブルが起こったときは、slackやchatworkなど配信ツールとは別のチャットツールで連絡を取り合うことを想定して準備を進めましょう。また、回線トラブルが起こったときには、すぐに謝罪定型文を出せるようにしておくなど、最悪の事態を回避する準備をしておきましょう。バックアップの回線を用意しておく、などの方法もあります。
ポイント2:告知・案内にも力を入れる。
オンラインイベントのコンテンツや制作にどれだけ力を注いでも、参加者が集まらなければ、イベントは成功とはいえません。
集客については、対面型のイベントと同じように、多方面から、告知を呼びかけ周知を徹底させましょう。SNSやメールマーケティングなど複数の告知ルートを確保し、場合によっては、ネット広告などを使ってイベント参加用ランディングページへの誘導を行います。
ポイント3:イベント後のフォローを忘れない。
参加者がオンラインイベントへの参加を登録するときに、メールアドレスや属性などの入力を促すことで、ターゲットの属性が把握できます。この情報が、イベント後のメールマーケティングなどの営業活動に有効なことはいうまでもありません。この参加者へのフォローが、次のイベントを成功へ導く鍵になります。
オンラインイベントで配信した動画をアーカイブにして、オンデマンド視聴を可能にすれば、当日参加できなかった人々にもアプローチができますし、録画したイベント動画とパワーポイントなどの資料をメールで送るなどのサービスを行うことで、イベント後も参加者とコミュニケーションをとることができます。
オンラインイベントの配信プラットフォームの多くには、独自のリマインドメール機能が備わっていますので、MAツールと連携させることで、フォローアップを効果的に行うことができます。