DXを学べる本は? おすすめの書籍を目的別/業種別/職種別に紹介

ここ最近、「DX(Digital Transformation / デジタルトランスフォーメーション)」が、日本経済を立て直す救世主として人気のワードとなっています。

DXとは、経済産業省も推進する「デジタル技術でビジネスや人々の暮らしを変革(トランスフォーメーション)し、競争上の優位性を確立させること」です。たとえば、オンラインバンキングやオンラインショッピング、オンラインミーティングなど、ITのテクノロジーで従来のビジネスの仕組みそのものを変革させることで、圧倒的な効率化を図ったり、生産性を生み出したりすることを指します。

DXについて経産省が提言したのは、2018年のこと。ペーパーレス化やアジャイル開発などをメインにした報告書がまとめられてから2年後、コロナショックでビジネス環境が強制的にリセットされました。この危機感を背景にして、DXは急速に広まったのです。

DXの必要性は理解しているが、進め方がわからない。あるいはどこから手をつけたら良いかわからない。または、社内を説得するための資料が足りない――急速に広まったぶん、そのように考えているDXの初心者の方は、少なくありません。

DXについて知るためには、まず入門編となる参考本を1~2冊読むことをおすすめします。それらを読むだけで、最新のDXを俯瞰から体系的に理解することができるからです。

そこでこの記事では、Amazonの売上ランキングを参考に、目的別・業種別・職種別に、おすすめのDX本をご紹介していきます。

DXを推進するための戦略を勉強したい

DXの思考法 日本経済復活への最強戦略|西山 圭太 (著), 冨山和彦 (解説)|文藝春秋

DXの思考法の表紙

まずは『DXの思考法 日本経済復活への最強戦略』はいかがでしょうか。

DX関連本の中でも、2021年3月の刊行以来、累計10万部に迫る勢いで、常にAmazonランキングの上位をキープしているのが本書です。DXをデジタルの側面からだけではなく、経営の側面からも解き明かし、コロナショックを生き抜くための「戦略としてのDXの真髄」が語られています。

本書の作者は、元経済産業省局長の西山圭太氏。社会の課題に対して「具体的に核心に切り込むのではなく、抽象化することで柔軟なニーズに応えることができる」という提案がユニークです。

Amazonのカスタマーレビューには、「DXとはなにか、DX実現に向けたフレームワークとはなにかという問いに答えている」というコメントが寄せられています。

初心者でも、DXについて理解したい

いちばんやさしいDXの教本 人気講師が教えるビジネスを変革する攻めのIT戦略 |亀田重幸, 進藤 圭  (著)|インプレス

いちばんやさしいDXの教本の表紙

DX関連本のなかでも、特に非エンジニアのDX初心者におすすめなるのが、さまざまなテクノロジーの入門書として人気があるインプレスの「いちばんやさしい教本」シリーズの『いちばんやさしいDXの教本』です。

DX初心者が混乱しやすい用語、たとえば「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」と「DX」の違いについてわかりやすく解説されているのをはじめ、タイトルどおり、初心者に向けた内容になっています。

本書は、単にわかりやすいだけではなく、データ活用について実例を交えて語られているのもポイントです。入門編でありながら、実践的な学びが得られる本であるといえます。

Amazonのカスタマーレビューには、「最新の事例が入ってわかりやすい」というコメントが寄せられています。

DX推進を、業種別に学びたい|自治体

福岡市長高島宗一郎の日本を最速で変える方法|高島宗一郎 (著)|日経BP

福岡市長高島宗一郎の日本を最速で変える方法の表紙

自治体におけるわかりやすいDX関連本としては、『福岡市長高島宗一郎の日本を最速で変える方法』がおすすめです。

自治体の中でも、先駆けてハンコレスを実現するなど、数々の先進的な施策で注目をあびているのが福岡市です。36歳で市長選挙に当選してからというもの、福岡市を牽引してきた高島氏は、本書でデジタル庁やスマートシティ構想とともに、自治体のDXについても提言を行っています。高齢化対策としてのDXを取り入れるという視点がユニークで、自治体におけるDXの実践的な事例について理解を深めることができます。

Amazonのカスタマーレビューには、「市長の熱いメッセージに心を打たれた」というコメントが寄せられています。

DX推進を、業種別に学びたい|製造業

スケールフリーネットワーク  ものづくり日本だからできるDX |島田 太郎 , 尾原 和啓  (著)|日経BP

スケールフリーネットワーク  ものづくり日本だからできるDXの表紙

製造業や物流にたずさわる人々におすすめのDX関連本が、東芝でDXを実践してきた著者による『スケールフリーネットワーク ものづくり日本だからできるDX』です。

本書には、GAFA(Google / Amazon / Facebook / Apple)と呼ばれる外資IT企業に牛耳られたかのように見える日本の製造業が、DXを活用して一発逆転するための戦略が綴られています。

製造業の生き残り戦略の鍵を握るのが「スケールフリーネットワーク 」というネットワーク理論と、本書には記されています。この理論を用いて、多様性がありハードウエアに強い日本企業だからこそできるDX戦略が解き明かされています。巻末には、タニタ社長、東芝CEOの対談やインタビューが収録されているのも見逃せません。

Amazonのカスタマーレビューには、「製造業の現場の声をまとめた本だけに説得力がある」というコメントが寄せられています。

DX推進を、業種別に学びたい|金融業

金融デジタライゼーションのすべて―DXに臨む金融業界のテクノロジーと実践 |株式会社日本総合研究所先端技術ラボ , Ridgelinez株式会社 Financial Services (著, 編集) |きんざい

金融デジタライゼーションのすべての表紙

銀行を含めた金融業界には、DXの波がもっとも大きく押し寄せています。DX関連本のなかでも、金融業の方々におすすめの本が『金融デジタライゼーションのすべて』です。

本書は、オンラインバンキングを皮切りにデジタル化が進む金融業で使われるテクノロジーを、デバイス、認証、ネットワーク、ビッグデータ、AI、ブロックチェーン、量子コンピュータなどの事例とともに紹介し、金融業界のDXを網羅しています。

金融におけるITトレンドも、個人向け・法人向けだけでなくミドルバック領域まで章立てして紹介。さらに最終章では、金融の最新動向とともに、2025年までに激変すると言われる金融の未来についても語られています。

銀行の雄、SMBCグループで先端技術に携わってきた著者ならではの、全方位型の金融DX本といえます。

自分の業務について、DXでどう改善できるのか、勉強したい|営業

営業を変えるマーケティング組織のつくりかた ~アナログ営業からデジタルマーケティングへ変革する|上島 千鶴  (著)|技術評論社

営業を変えるマーケティング組織のつくりかたの表紙

営業活動をデジタル化することで、企業や人が受ける恩恵は計り知れないといわれています。DX関連本のなかでも、営業担当者におすすめしたいのが『 営業を変えるマーケティング組織のつくりかた』です。

営業という言葉から想像する昭和型の勘に頼ったセールスから、DXの概念をもとにデジタルを駆使したマーケティング型組織へと変革するための手順を、実例とともに紹介。

中小企業から大手まで200を超えるプロジェクトの現場に携わってきたデジタルマーケティングの第一人者が、課題別に章立てをして、営業をデジタル化する具体例を語ります。

Amazonのカスタマーレビューには、「現場で顧客担当者と一緒に苦労している著者だからこそ書けた本」という感想が寄せられています。

自分の業務について、DXでどう改善できるのか、勉強したい|経理

売上が上がるバックオフィス最適化マップ ーーテレワーク・コスト減・利益増・DXを一気に実現する経営戦略|本間 卓哉  (著), 大西 亜希 (監修), 石川 浩司 (監修), 梅澤 遊太 (監修), 髙島 卓也 (監修), 西村 公志 (監修), & 2 その他|クロスメディア・パブリッシング(インプレス) 

売上が上がるバックオフィス最適化マップの表紙

DX関連本のなかでも、総務・経理担当者におすすめしたいのが『売上が上がるバックオフィス最適化マップ』です。

本書では、総務や経理担当者が関わる社内全体の業務をバックオフィスとして位置づけています。経営戦略、つまり売上ににつながるバックオフィスを最適化するための施策として、ペーパーレス化やテレワークへの移行をはじめ、業務フローのなかにDXを取り入れる方法について言及しています。

Amazonのカスタマーレビューには、「会計から逆算したIT導入やカスタマイズが新鮮」という声が寄せられています。

自分の業務について、DXでどう改善できるのか、勉強したい|マーケティング

マーケティング視点のDX |江端浩人  (著)|日経BP

マーケティング視点のDX

マーケティングは、いまやデジタル抜きには成立しません。DXをマーケティングの立場から捉え、マーケティング担当者におすすめしたいのが『マーケティング視点のDX』です。

本書のユニークな点は「市場が喜ぶ」という立場からDXに言及しているところです。デジタル化によって起きる成果は、一般的には「利便性」や「生産性」そして「効率化」ですが、本書ではその先にある「喜ぶ」という顧客の感情を見据えています。マーケティング視点を持ってDXを推進することを「DX2.0」と呼び、「DX2.0」にアップデートすることで、DXの価値がさらに引き上げられると著者は語ります。マーケティングについて国内外のさまざまな業種の事例が豊富なところもポイントが高いです。

Amazonのカスタマーレビューには、「攻めのDXについてわかりやすく書かれている」という声が寄せられています。