ビジネス向けICTサービスを展開しているインテックは2021年9月16日、自治体や住民、医療機関が共同で利用できる新型コロナウイルスワクチン接種事業支援システム(ワクチン接種システム)を今年5月、東京都多摩市に導入し、接種業務を円滑に進められるなど一定の成果を得られたと発表した。
このシステムでは、予約状況や接種結果などをリアルタイムに一元管理でき、予約の集中にも柔軟に対応できる。これによって、多摩市では住民からの予約受け付けから国への接種報告まで、大きなトラブルもなく円滑に対応できた。
同社は3回目のワクチン接種に向けてシステムをさらに改良するほか、今回の成果を住民税申告や保育所の入所手続きといった他の行政手続きの簡素化など、自治体のDX推進につなげていくとしている。
さまざまな予約手段に対応し、予約を一元管理
「Web予約」や「音声自動応答によるAIコールセンターでの予約」「オペレーターによるコールセンターでの予約」の3種類の予約方法を用意し、どの方法を選んでも予約データをワクチン接種システムに即時連携できるようにした。
これによって、多摩市は予約状況をリアルタイムで把握。医療機関もワクチン接種システムに接種可能な日時や人数を登録することで、スタッフの態勢や施設の大きさに合った予約数を受け入れられるようになった。また、医療機関は独自の予約システムを用意する必要がなく、通常の診察業務に集中できた。
柔軟にサーバーを増強し、サーバーダウンを回避
システムにはパブリッククラウドを利用しており、アクセス数に応じてサーバー台数を調節するなど柔軟な対応ができる。
多摩市では、16歳以上のワクチン接種予約が開始された7月13日に予約が集中し、そのうち9割がWeb予約だった。特に予約開始直後にアクセスが集中したが、事前にパブリッククラウドのサーバーを増強しておくことでサーバーダウンを防ぎ、10分間で約7000件の予約登録を完了。1日で約1万8000件の予約を受け付けた。
実績データをリアルタイムに反映し、VRS対応も円滑に
各医療機関が接種実績をワクチン接種システムに登録すると、実績データはリアルタイムでシステムに反映される。市は集団接種会場と医療機関での接種実績を一元管理できるため、VRS(ワクチン接種記録システム)を通じた国への接種報告も円滑に進められた。