佐賀県は2021年6月4日、電子署名を使った契約手続きをクラウド上で行う実証実験を民間企業2社と開始すると発表した。実施期間は6月から8月末までの3カ月間で、契約事務の効率化の効果や電子契約の対象となる事務の範囲について検証を行う。
実証実験は、電子契約サービスを手がけるGMOグローバルサイン・ホールディングスと弁護士ドットコムの民間企業2社と連携して行う。県では、電子契約の導入によって事務作業のコスト削減や業務の効率化、手続きのスピードアップが図れるとしており、電子契約と従来の対面や書面による契約を併用し、どの程度の効果が見込めるのかを比較する。また、今後、本格導入を図る際、どの程度まで電子契約の対象を広げるか検討する。
GMOグローバルサイン・ホールディングスは官公庁・自治体向けのクラウド型電子契約サービス「電子印鑑GMOサイン for 行革DX」を提供する。電子契約とはインターネット上でファイルを交換し、電子署名を付与することで契約を結ぶ方式で、ファイルが契約書、電子署名がサインや印鑑にあたる。印鑑証明に相当する「電子証明書」もあり、契約の内容や重要度に応じて、電子署名の信頼度を高めることができる。
同社では、業務のデジタル化による行政サービスの利便性向上や職員の働き方改革を進める「さよなら印鑑~1億総デジタル化プロジェクト」に取り組んでおり、プロジェクトに参加しているのは、佐賀県を含め東京都や千葉市、福岡市など72自治体にのぼる。
また、弁護士ドットコムが提供する電子契約サービス「クラウドサイン」も4月末時点で500万件以上の利用実績があり、すでに自治体でも導入・運用されている。
佐賀県では「ポストコロナ時代を見据え、デジタル社会の構築に向けた行政のデジタル化を推進する」として「デジタル・イノベーション・チャレンジ」と名付けたプロジェクトに取り組んでおり、今回の実証実験はその第1弾となる。